設立趣旨

大地と風、そして激しい雨と雪。

あらゆる日本の自然を舞台装置として生み出された黒澤 明の映像と音は、かつて日本の映画史上に類を見ない、大胆かつ繊細な総合美術を創出し、その生涯において三十本の映画を世に残しました。

映画が制作された昭和の時代に生きた世代にとって、忘れ去ることのない鮮烈な一シーンが、人それぞれの記憶として心に刻まれています。 黒澤 明の原点には、茶・花・香・作庭など、日本文化の規式を確立した東山文化、歴史の舞台となった古き都の風趣、そして能の世界をはじめ、芸術・文化の粋が秘められています。

黒澤明アカデミーは、映画をこよなく愛する世界の人々に継承されることを願っています。